正当な意味

 すると由子はそれの否定や肯定ではなく、そしらぬやうな冷淡きはまる顔付をして「愚劣だと悪いの」と言つたり「ぢや、偉くないのね」と言つたり、またある時には決然として「でも立派よ」と言ひきつたりする。それらの言葉は正当な意味によつてではなく、対者の心理の隙につけこむことによつてのみ意味を生じ、かつその意...

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お妾の解釈の問題

「つまりお妾の解釈の問題ではないのです。公爵と結婚したつて立派なことではないやうに、お妾も下品なことではないのです。ただ――」木村重吉は一瞬憐れみを乞ふやうに由子の瞳をちらと見たが、やがて怒気をあらはして言葉をつづけた。「あなた自身が誰よりそれを知つてることではありませんか。それを僕に言はせることす...

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言ひ訳じみた言ひ方

 そんな風に言ひ訳じみた言ひ方をすることが由子の神経にひびくのである。なるほど由子は乗気なのだ。それに偽りはないのであるが、それをわざ/\言はねばならぬ生活がいや、自分もいや、自分に言はせる相手もいやだ。……子供つぽい。そんなことにむきにこだはらなくつても。由子はすべてを笑殺する。「お妾つて……」...

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